症例報告
ビタミンA欠乏が原因と考えられる重症角膜感染症を生じた小児自閉症スペクトラム障害の1例
髙橋 華子
1
,
神谷 和孝
2
,
髙橋 正英
1
,
庄司 信行
1
1北里大学医学部眼科
2北里大学医療衛生学部視覚生理学
キーワード:
ビタミンA欠乏症
,
小児自閉症スペクトラム障害
,
栄養障害
,
角膜潰瘍
,
角膜感染症
,
ネグレクト
Keyword:
ビタミンA欠乏症
,
小児自閉症スペクトラム障害
,
栄養障害
,
角膜潰瘍
,
角膜感染症
,
ネグレクト
pp.267-273
発行日 2021年3月5日
Published Date 2021/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002061
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
ビタミンA欠乏症は小児の視力障害の原因として知られているが,摂取不足に陥りやすい発展途上国で多く,現代における本邦での発症はまれである。今回我々は,偏食が原因と考えられるビタミンA欠乏症により,重症角膜感染症を生じた小児例を経験した。
患者は自閉症スペクトラム障害を有する7歳の男児。両眼の開瞼障害で近医を受診し角膜潰瘍を疑われたため,精査加療目的で当院紹介受診となった。初診時両眼ともに前房は浅く角膜上の白色塊と潰瘍,前房蓄膿を認め,感染性角膜潰瘍による角膜穿孔と診断した。抗菌薬の点眼および経静脈投与での治療を開始し前房蓄膿は減少傾向となったが,角膜上皮欠損は遷延した。精査の結果,血清ビタミンA値6IU/dL,レチノール結合蛋白0.4mg/dLと低下を認めたため,ビタミンA欠乏症による遷延性角膜上皮欠損を疑い,ビタミンAの経口投与を開始したところ,血清ビタミンA値は正常化し角膜所見も改善した。
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.