原著論文
非外傷性角膜穿孔症例の原因と治療についての検討
後藤田 哲史
1,2
,
鈴木 崇
1
,
糸川 貴之
1
,
柿栖 康二
1
,
秋山 朋代
1,2
,
堀 裕一
1
1東邦大学医療センター大森病院眼科
2大森赤十字病院眼科(東京都大田区)
キーワード:
非外傷性角膜穿孔
,
感染性角膜穿孔
,
自己免疫疾患
,
ステロイド
,
角膜移植
,
易感染性
Keyword:
非外傷性角膜穿孔
,
感染性角膜穿孔
,
自己免疫疾患
,
ステロイド
,
角膜移植
,
易感染性
pp.1353-1360
発行日 2020年11月5日
Published Date 2020/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001920
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目的
東邦大学医療センター大森病院眼科(当科)での非外傷性角膜穿孔症例について検討する。
対象と方法
2014年4月から2018年7月までに当科を受診した非外傷性角膜穿孔症例32例34眼(男性13例,女性19例,平均69.5±14.8歳)を対象とした。角膜穿孔の原因,穿孔部位,治療内容,視力予後,全身合併症の有無,について診療録に基づいて後ろ向きに検討した。
結果
原因は,感染性17例(ヘルペスウイルス9例,細菌7例,真菌1例),非感染性15例(リウマチ7例,特発性周辺部潰瘍2例,その他6例)であった。感染性17例のうち,全身性の自己免疫疾患のある症例は4例で全例ステロイドが使用されていた。穿孔部位は,中心部9例(感染性8例,非感染性1例),傍中心部10例(感染性8例,非感染性2例),周辺部13例(感染性1例,非感染性12例)であった。治療は32例中14例で保存的治療,17例は外科的治療(全層角膜移植3例,表層角膜移植4例,羊膜移植8例,角膜縫合1例,眼球摘出1例)を行い,1例は治療を自己中断した。視力は,感染性で自己免疫疾患の既往がない症例では有意に改善していた(P=0.0343)が,感染性で自己免疫疾患を有する症例では改善がみられなかった。
結論
全身性の自己免疫疾患を背景に持つ場合,ステロイドによる易感染性が角膜穿孔の契機となることがあり,その場合は視力改善が得られにくいと考えられた。
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