私の経験
眼瞼下垂手術後の縫合糸の露出により角結膜障害を認めた上眼瞼溝深化を伴う緑内障の1例
髙田 幸尚
1
,
住岡 孝吉
1
,
岡田 由香
2
,
雑賀 司珠也
1
1和歌山県立医科大学眼科学教室
2和歌山県立医科大学附属病院紀北分院眼科
キーワード:
上眼瞼溝深化
,
眼瞼下垂手術
,
緑内障
,
縫合糸露出
,
角結膜障害
,
挟瞼器
Keyword:
上眼瞼溝深化
,
眼瞼下垂手術
,
緑内障
,
縫合糸露出
,
角結膜障害
,
挟瞼器
pp.393-397
発行日 2023年4月5日
Published Date 2023/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003093
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眼瞼下垂手術施行歴のある上眼瞼溝深化(deepening of upper eyelid sulcus:DUES)を伴う緑内障症例で,縫合糸の露出により角結膜障害を認めた1例を経験した。
症例は88歳,男性。プロスタグランジンF2α製剤を含む緑内障点眼治療中にDUESと眼瞼下垂を認め,2018年1~5月に和歌山県立医科大学附属病院(以下,当院)形成外科において両眼瞼下垂に対して3度手術,2019年3月当院眼科において左眼線維柱帯切除術の手術歴あり。2022年7月より左眼の眼痛・異物感を自覚し,近医眼科を受診。左眼の上方の角膜,結膜に楕円状の上皮欠損と多数の線状傷がみられ,ヒアルロン酸点眼や抗菌薬眼軟膏で改善せず,同年8月X日当院眼科紹介受診となった。両眼ともにDUESと皮膚拘縮が顕著であったため,綿棒などを用いても上眼瞼の翻転は行えなかった。挟瞼器を使用することで翻転は可能であり,眼球結膜から露出していた糸状の異物を除去した。除去した異物は約2mm大で縫合糸の断端であり,5日後には角結膜障害は消失した。異物除去から1か月後に眼瞼下垂の再発は認めなかった。
上眼瞼の翻転が困難な眼瞼手術後の皮膚拘縮の強いDUESを伴う緑内障症例では,眼瞼下垂手術後の縫合糸の露出を確認するのに挟瞼器が有効であった。
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