症例報告
EX-PRESSⓇが結膜外に露出し抜去が必要となった1例
田村 忠彦
1
,
岩西 宏樹
1
,
髙田 幸尚
2
,
雑賀 司珠也
1
1和歌山県立医科大学眼科学講座
2和歌山県立医科大学附属病院紀北分院眼科
キーワード:
EX-PRESSⓇ
,
緑内障
,
強度近視
,
マイトマイシンC
,
強膜穿孔
,
結膜露出
Keyword:
EX-PRESSⓇ
,
緑内障
,
強度近視
,
マイトマイシンC
,
強膜穿孔
,
結膜露出
pp.887-892
発行日 2021年9月5日
Published Date 2021/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002261
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日本アルコン社製エクスプレスTM緑内障フィルトレーションデバイス(EX-PRESSⓇ:以下EX)併用濾過手術後にEXが結膜外に露出し抜去が必要となった1例を経験したので報告する。
症例は81歳女性。全身基礎疾患なし。白内障手術歴・黄斑円孔の硝子体手術歴があった。2015年,緑内障に対しEX併用濾過手術を行った。手術は結膜輪部切開後2時部に4×4mmの強膜弁を作製し,0.04%マイトマイシンC(以下MMC)2分間曝露後に乳酸リンゲル液250mLで洗浄,EXを型通りに設置,強膜弁は10-0ナイロンで5針縫合した。術15日後レーザー切糸術(3本)を施行した。術後ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム点眼を1か月使用した。術9か月後,流出路再建術(0.02%MMCに2分間曝露し,ニードリング)を施行した。術後経過中にEXの角膜,虹彩への接触はなかった。術19か月後にEXが強膜弁を穿孔し結膜外への一部露出を認めたため,EX抜去を行った。EX抜去後は術後の眼圧上昇や合併症なく経過している。
本症例は強度近視眼であり,強膜が薄いことに加え,EX併用線維柱帯切除術とニードリングの際に使用したMMCの薬理効果,EX自体による炎症反応により,強膜弁の菲薄化から穿孔の後にEXが結膜外へ露出した可能性がある。EX手術の際には薄い強膜フラップが推奨されているが,強度近視眼におけるEX術後のMMC使用や機械的刺激による強膜弁の菲薄化,穿孔に対して注意が必要である。
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