綜説
緑内障眼の黄斑手術
寺島 浩子
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科眼科学分野
キーワード:
緑内障
,
黄斑上膜
,
黄斑円孔
,
内境界膜剥離
,
OCT
,
マイクロペリメトリー
Keyword:
緑内障
,
黄斑上膜
,
黄斑円孔
,
内境界膜剥離
,
OCT
,
マイクロペリメトリー
pp.355-357
発行日 2023年4月5日
Published Date 2023/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003087
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黄斑疾患のなかでも黄斑上膜(epiretinal membrane:ERM)や黄斑円孔(macular hole:MH)は硝子体手術が適応となる代表疾患である。特にERMは2~10%と高い有病率1)との報告があるが,近年は日常診療での光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)の活用により診断が容易になったので,さらに手術件数は増加していると思われる。また,加齢に伴い緑内障の有病率も上昇し,緑内障の10%以上にERMを合併しているとの報告もある2)。近年,硝子体手術は20ゲージの時代から25,27ゲージへと小切開硝子体手術が主流となっている。より低侵襲な手術操作が可能なことから,緑内障合併眼に対しても結膜温存をはじめとしたメリットがあると思われる。また内境界膜(internal limiting membrane:ILM)剥離術はERMやMHの標準術式となっており,ERMの再発を予防し,円孔の閉鎖率向上に寄与している。一方,最近緑内障合併眼の硝子体手術後において視野の悪化が報告されてきており,ILM剥離の是非についての議論が高まってきている。高齢化に伴い緑内障眼に対する硝子体手術の機会は今後増加すると思われる。そこで,本稿では,緑内障眼の黄斑疾患に対する黄斑部操作や硝子体手術における留意点について考えていきたい。
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