綜説
緑内障患者の黄斑疾患に対する硝子体手術,アップデート
東出 朋巳
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系眼科学
キーワード:
緑内障
,
硝子体手術
,
黄斑疾患
,
内境界膜剥離
,
視野障害
,
黄斑上膜
Keyword:
緑内障
,
硝子体手術
,
黄斑疾患
,
内境界膜剥離
,
視野障害
,
黄斑上膜
pp.429-438
発行日 2025年5月5日
Published Date 2025/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004148
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硝子体手術はMIVS(microincision vitrectomy surgery)として進化し,低侵襲で安全かつ確実な手術が可能となってきた。それに伴い,術後には解剖学的な改善に留まらずより良い視機能が求められるようになってきている。しかし,術後に予想に反して視機能があまり改善しない,あるいは悪化する症例を経験することがある。その例として緑内障眼における術後の中心視野障害や視力低下がある。緑内障はわが国における成人中途失明の第1位の原因疾患であり,最近の報告では全体の4割を占めるに至っている1)。硝子体手術は多数の疾患や病態に適応されるが,代表的疾患である黄斑上膜(epiretinal membrane:ERM)は,緑内障と同様に加齢とともに増加する2-6)。わが国の70歳以上での緑内障の有病率は10%以上であるのに対して,欧米のOCTを用いた疫学研究によると高齢者のERMの有病率は30%以上である7-9)。ERMの頻度は緑内障眼では非緑内障眼よりも高いとの報告もある9)。したがって,高齢者のERM手術の際に緑内障を合併していることはまれではない。

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