特集 OCTによる緑内障診療アップデート
2 緑内障診療におけるOCTアーチファクト
田中 健司
1
,
三木 篤也
1
1愛知医科大学眼科学講座
キーワード:
OCT
,
アーチファクト
,
緑内障
,
視神経乳頭周囲網膜神経線維層厚
,
黄斑部網膜内層厚
Keyword:
OCT
,
アーチファクト
,
緑内障
,
視神経乳頭周囲網膜神経線維層厚
,
黄斑部網膜内層厚
pp.1169-1178
発行日 2023年10月5日
Published Date 2023/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003353
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現在の緑内障診療において,光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)は必須のツールとなりつつある。OCT検査の緑内障診断における感度と特異度は,ともに90~95%以上と報告されており1)2),診断精度は高い。しかし,これらの研究では,アーチファクトのある画像や他疾患との合併症例,強度近視眼は除外されているため,実臨床での診断精度はこれほど高くないと推測される。緑内障患者のOCT撮影画像の15.2~36.1%に何らかのアーチファクトが生じていたという報告があり3),結果の解釈には注意が必要である。OCTの結果を過信しすぎると,誤った解釈により誤診や見逃しにつながる可能性がある。したがって,誤診や見逃しを防ぐためには,アーチファクトを考慮した撮影と読影が必要となる。現在の緑内障診療で一般的によく用いられるのは,視神経乳頭周囲網膜神経線維層(circumpapillary retinal nerve fiber layer:cpRNFL)厚解析や黄斑部網膜内層厚解析である。OCT画像からこれらの層の厚みを算出し,正常眼データベースと比較することで,緑内障の診断や進行の判定に利用している。本稿では,cpRNFL厚解析および黄斑部網膜内層厚解析の際に生じるさまざまなアーチファクトについて整理し,アーチファクトを考慮した撮影方法と読影方法について解説する。
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