症例報告
斜視術後に下斜筋から発生した眼窩顆粒細胞腫の1例
宮島 彩乃
1
,
金子 博行
1,2,3
,
松本 浩一
1
,
太根 ゆさ
1
,
溝田 淳
1
,
菊地 良直
4
1帝京大学医学部眼科学講座
2かねこ眼科(東京都)
3帝京大学医療技術学部視能矯正学科
4帝京大学医学部病理学講座
キーワード:
顆粒細胞腫
,
眼窩内腫瘍
,
下斜筋
,
好酸性顆粒
,
S-100蛋白陽性
,
上斜筋麻痺
Keyword:
顆粒細胞腫
,
眼窩内腫瘍
,
下斜筋
,
好酸性顆粒
,
S-100蛋白陽性
,
上斜筋麻痺
pp.99-104
発行日 2023年1月5日
Published Date 2023/1/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002994
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顆粒細胞腫は眼科領域では比較的稀な疾患である。今回我々は斜視術後に下斜筋から発生した1例を経験したので報告する。症例は22歳男性,6年前に右上斜筋麻痺に対し左眼下直筋後転術を施行した。術後経過良好で1年ごとに定期診察を継続していたが,複視症状の増悪,右眼球突出の訴えが出現してきた。精査目的に眼窩magnetic resonance imagingを施行した結果,右眼球下面から下直筋にかけ,T1強調画像で等信号,T2強調画像で辺縁が低信号,中心軽度高信号の腫瘤性病変を認めた。病変は下斜筋と一体となっており,全身麻酔下の手術により下斜筋ごと摘出した。病理組織学的には好酸性顆粒が観察され,免疫組織化学染色ではS-100蛋白陽性であった。以上より,下斜筋から発生した顆粒細胞腫と確定診断された。腫瘍摘出後,症状は改善し,現在も局所再発なく経過している。斜視術後においても眼球運動障害の増悪および眼球突出などを認めた場合,腫瘍性病変などを考慮し眼窩内の精査が必要である。
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