特集 未熟児網膜症アップデート
3 未熟児網膜症に対する抗VEGF療法
髙橋 理恵
1
1福岡大学医学部眼科学教室
キーワード:
未熟児網膜症
,
抗VEGF療法
,
硝子体注射
,
退縮後再燃
,
血管伸展
Keyword:
未熟児網膜症
,
抗VEGF療法
,
硝子体注射
,
退縮後再燃
,
血管伸展
pp.17-23
発行日 2023年1月5日
Published Date 2023/1/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002984
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未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)は,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)に起因する網膜血管増殖性疾患である。早産による網膜血管の発達不良により形成された無血管網膜が原因であり,その虚血網膜から産生されたVEGFの濃度がROPの活動性と相関している。そのため,VEGFの抑制がROP治療の要となっている1)2)。2007年から抗VEGF療法を光凝固と併用して使用することで難治なaggressive posterior ROP(APROP,現A-ROP)を成功裏に治療した報告3)4)や,抗VEGF療法を硝子体手術前に行ってROPの新生血管の活動性を低下させ,良好な手術成績を得た報告5)などから抗VEGF療法が注目されるようになった。その後,2011年に光凝固とベバシズマブ硝子体注射との治療成績を比較したBEAT-ROP study6)において,zoneⅠROPに対しては光凝固よりも抗VEGF薬単独療法が優位であると明らかにされて以来,多くの施設で新たなROP治療法として施行されるようになった。そして,光凝固に加え,抗VEGF療法という新たな治療法が加わったことで,児の状態に応じて治療を選択できるようになり,より多くのROP児の視力を守ることができるのではないかと期待されている。本稿では,ROPへの抗VEGF療法について自験例を示しながら解説する。
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