綜説
未熟児網膜症治療の最新情報
松下 五佳
1
1産業医科大学眼科学教室
キーワード:
未熟児網膜症
,
ICROP 3
,
抗VEGF療法
Keyword:
未熟児網膜症
,
ICROP 3
,
抗VEGF療法
pp.971-976
発行日 2021年10月5日
Published Date 2021/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002299
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未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)は早産児における未発達の網膜に起こる血管増殖性疾患であり,重症例では網膜剥離が進行し,失明の原因となり得る。低出生体重児におけるROPの発症率については施設単位や地域単位でさまざまな報告がある。2003年以降に全国の総合周産期母子医療センターおよび主要新生児医療施設に入院して治療を受けた在胎32週未満および出生体重1,500g以下の新生児を対象とした周産期母子医療センターネットワークデータベースによると,眼底のスクリーニング検査を受けた新生児のうちROPがStage 3以上に進行した割合は2003年では44%であったのに対し,2017年には16%と進行症例が減少していることがわかる。ROPを発症した症例のうち治療を要した割合は10%前後を占めている。2000年以降,ROPによる新たな失明症例は減少しているものの,視覚特別支援学校に在籍する視覚障害をもつ児の原因疾患では依然としてROPが最多であり,小児における視覚障害の原因疾患として重要である1)。
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