特集 分子標的薬と眼
4 抗VEGF剤の眼科応用の現状:未熟児網膜症
近藤 寛之
1
1産業医科大学眼科
キーワード:
retinopathy of prematurity
,
未熟児網膜症
,
抗VEGF
,
モノセラピー
,
RAINBOWスタディ
,
APROP
Keyword:
retinopathy of prematurity
,
未熟児網膜症
,
抗VEGF
,
モノセラピー
,
RAINBOWスタディ
,
APROP
pp.353-358
発行日 2019年4月5日
Published Date 2019/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001125
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未熟児網膜症(retinopathy of prematurity,ROP)は網膜剥離を発症し失明や視力障害を生じる代表的な乳幼児眼底疾患である。未熟児網膜症では早産による網膜血管の形成障害(網膜虚血)によって,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor,VEGF)などの眼内サイトカインの発現が亢進し,新生血管や増殖膜の形成,さらに網膜剥離へと至る1)。未熟児網膜症の治療はVEGFなどの眼内サイトカインの制御によると言っても過言ではない。未熟児網膜症に対して確立された治療は網膜凝固であり,網膜を破壊することで眼内のサイトカインの発現を低下させる効果がある2)。 網膜凝固は1967年に日本の永田がその有効性を報告し,米国では1980年代より網膜冷凍凝固に対して,1990年代からは網膜レーザー凝固に対して多施設前向き試験が行われ,その有効性が確立された3)4)。しかし,網膜凝固の治療ガイドラインにしたがっても一定数は網膜剥離によって視力予後が不良であり,さらに有効な治療法を検討する必要性がある4)。
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