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特集 小児眼科領域における診断と治療 最近の進歩
Ⅴ 網膜硝子体
4 未熟児網膜症の診断と治療
Diagnosis and treatment of retinopathy of prematurity
田中 友理
1
,
野々部 典枝
2,3
Tanaka Yuri
1
,
Nonobe Norie
2,3
1名古屋大学医学部附属病院眼科
2いとう眼科(愛知県)
3浜松医科大学眼科
キーワード:
未熟児網膜症
,
抗VEGF薬
,
硝子体注射
,
網膜光凝固術
Keyword:
未熟児網膜症
,
抗VEGF薬
,
硝子体注射
,
網膜光凝固術
pp.1014-1019
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004315
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はじめに
未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)は,網膜血管が未熟な状態で出生した早産児や低出生体重児に発症する血管増殖性疾患である。厚生労働省の人口動態統計によると,2024年の国内の出生数は72万988人で過去最低を記録し,近年日本は少子化の一途をたどっている。早産児や低出生体重児の割合は横ばいとなっており,全体としてROPの症例数は減少している。太刀川らは東京都多施設研究第3報1)において,既報よりも集団の平均在胎週数が短く平均出生体重が小さくなっているにもかかわらずROPの発症率や治療率が減っていることを報告しており,児の全身管理技術の向上にも関連していると推測される。ただし,超低出生体重児のなかで500g未満の割合は増加しており,スクリーニングすべき児や治療対象となるROPは依然多数存在し,我々眼科医はより全身状態が未熟で,重篤な全身合併症を持つ児のROPを治療せねばならなくなってきている。ROPは小児期の視力障害の主要な原因のひとつであるが,適切な介入によって良好な視機能を獲得できる可能性がある疾患である。周産期医療に関わるすべての医療者がROPに対する正確な情報を共有し,実践できるようROPを取り巻く最近の進歩について述べる。

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