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要約
はじめに
滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)に対する抗VEGF (vascular endothelial growth factor)剤の硝子体注射後の黄斑円孔形成の報告はわずかであり,手術後の経過報告はほとんどない。今回滲出型AMDに対する抗VEGF治療後に形成された黄斑円孔に対し,inverted ILM flap technique (内境界膜翻転法)を行い,円孔閉鎖が得られた症例を報告する。
症例
72歳,男性。2015年4月右眼視力低下を自覚。近医において滲出型AMDと診断され,2015年4月から2017年5月にかけてラニビズマブ1回,アフリベルセプト10回の硝子体注射を受けた。2017年5月30日再診時,さらなる右眼視力低下があり黄斑円孔を認め当院紹介となった。初診時右眼視力は0.09(矯正不能)。右眼黄斑部にOCTで線維血管性色素上皮剝離(fibrovascular pigment epithelial detachments:fibrovascular PED)と考えられる不規則な網膜色素上皮(RPE)隆起と,最大径573μmの全層黄斑円孔を認めた。2017年6月28日に右眼に対してアフリベルセプト硝子体注射を施行し,その1か月後,2017年7月20日に白内障手術併用25ゲージ経毛様体扁平部硝子体切除(25G PPV+PEA+IOL)術を施行した。インドシアニングリーンを用いて内境界膜(ILM)を染色し,黄斑円孔周囲の剝離したILMを翻転して黄斑円孔内に押し込み,液-空気置換後20% SF6(六フッ化硫黄)ガスタンポナーデ術を施行した。術後は腹臥位を1週間維持し,不規則隆起のRPE上で閉鎖した黄斑円孔を認めた。その後,黄斑円孔の再発は認めなかった。
考按
不規則なRPEの隆起を示すfibrovascular PED上に生じた難治性の黄斑円孔に対してはinverted ILM flap techniqueによる硝子体手術が治療の選択肢のひとつと考えられた。
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