眼科手術の適応―最新情報
8.網膜硝子体 4)糖尿病黄斑浮腫の硝子体注射とレーザー光凝固
秋山 英雄
1
1群馬大学医学部眼科学教室
キーワード:
DME
,
VEGF
,
硝子体牽引
,
OCT
,
後部硝子体剥離
,
網膜光凝固
Keyword:
DME
,
VEGF
,
硝子体牽引
,
OCT
,
後部硝子体剥離
,
網膜光凝固
pp.1230-1233
発行日 2017年9月30日
Published Date 2017/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000167
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糖尿病黄斑浮腫(DME)の原因には主に,毛細血管瘤などの局所的な血管構造異常や網膜虚血部位で発現するvascular endothelial growth factor(VEGF)による血管透過性亢進が挙げられ,さらに異常組織による漿液貯留,慢性炎症,そして硝子体の牽引も修飾因子として存在する1)〜4)。DME に対する治療は,VEGF 阻害薬の登場により大きく変化していることは間違いない。ラニビズマブ(RISE/RIDE 試験,VS シャム群)5)6),アフリベルセプト(VIVID/VISTA 試験,VS レーザー治療群)7)ともに,注射群のほうが対照群と比べて視力改善が明らかであり,早期からの繰り返し投与が効果的であるという大規模臨床試験の結果でVEGF 阻害薬がDME 治療の主軸となっているゆえんである。VEGF 阻害薬の単独治療の場合,1 年間の注射回数は約9〜10 回/年である一方2 年目以降の治療回数は減少するということが大規模臨床試験で明らかになった8)。レーザー治療を併用しても注射回数を減らすことはできなかったとも報告がある9)。それゆえ,抗VEGF 療法を行うことは理にかなっているものの,永続的な効果はなく反復治療が必要という問題がある。現実的には,VEGF 阻害薬と網膜光凝固を組み合わせた治療法が主流になると考えられる10)11)。さらにOCT angiography(OCTA)の登場で造影検査のように血管を描出することが可能になった。蛍光漏出がなく病勢がわかりづらい面もあるが,DME の病態や治療に応用されることは間違いない。
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