特集 視神経疾患と緑内障性視神経症の鑑別
4 虚血性視神経症と緑内障性視神経症
前久保 知行
1
1眼科三宅病院(名古屋市)
キーワード:
ischemic optic neuropathy
,
glaucomatous optic neuropathy
,
乳頭色調
,
乳頭サイズ
,
乳頭陥凹深部変化
,
BMO-MRW
Keyword:
ischemic optic neuropathy
,
glaucomatous optic neuropathy
,
乳頭色調
,
乳頭サイズ
,
乳頭陥凹深部変化
,
BMO-MRW
pp.637-643
発行日 2021年7月5日
Published Date 2021/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002185
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前部虚血性視神経症(anterior ischemic optic neuropathy:AION)は視神経乳頭部における短後毛様動脈の一過性低灌流が起こり視野障害,視力障害を生じる。原因により動脈炎性AION(arteritic AION:A-AION)と非動脈炎性AION(non-arteritic AION:NAION)に分けられる。急性期のAION(図1)では乳頭は腫脹し,ときに出血や周囲への滲出性変化を伴うことから緑内障性視神経症(GON)との鑑別は容易である。しかし慢性期では卒中型の発症時期が明確でないとGONとの鑑別に苦慮することも少なくない。それは慢性期には視神経萎縮となり特異的所見に乏しくなるためや,正常眼圧緑内障(NTG)が本邦では多いためである。GONで観察される乳頭陥凹拡大がAION1)~3)をはじめ他の視神経疾患4)~6)でも観察されることがあることから乳頭所見がときに類似する。NTGとして誤って診断されていた視神経疾患のなかで最も多い原因はNAIONであったとの報告もある7)。慢性期の両疾患の鑑別には注意が必要であり発症形式や進行性,構造障害,機能障害のパターンなどから総合的に診断する必要がある。今回,両疾患の類似点,相違点を特に構造変化に着目しまとめていきたい。
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