特集 神経眼科とOCT
4 前部虚血性視神経症
前久保 知行
1
1眼科三宅病院(名古屋市)
キーワード:
OCT angiography (OCTA)
,
retinal nerve fiber layer (RNFL)
,
ganglion cell layer (GCL)
,
ganglion cell complex (GCC)
,
ganglion cell-inner plexiform layer (GCIPL)
Keyword:
OCT angiography (OCTA)
,
retinal nerve fiber layer (RNFL)
,
ganglion cell layer (GCL)
,
ganglion cell complex (GCC)
,
ganglion cell-inner plexiform layer (GCIPL)
pp.1449-1455
発行日 2018年11月5日
Published Date 2018/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000934
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非動脈炎性前部虚血性視神経症(Non-arteritic Anterior Ischemic Optic Neuropathy:NAION)は短後毛様動脈の灌流障害によって視神経乳頭障害が生じ視野障害,視力障害が起こる1)。卒中型で発症し,起床時に自覚することが多い2)。急性期には虚血性障害によって乳頭は腫脹し,軸索流の阻害や間質浮腫が生じることで,さらに篩状板部で軸索が圧迫を受けるコンパートメント症候群が二次的に起こる。その後,網膜神経節細胞のアポトーシスが誘導され神経節細胞の減少が生じ,約2か月で乳頭蒼白となる3)。急性期では乳頭腫脹とともに線状出血や火炎状出血を伴うことや乳頭周囲に網膜皺,網膜内浮腫,中心窩網膜下液が生じる症例もある。血流障害は短後毛様動脈の分枝における分水嶺の位置に関連することが知られており,乳頭血流が区域性に障害を受け,それに対応する区画性視野障害が生じることが多い。しかし,短後毛様動脈のバリエーションや分水嶺の位置にも個人差があり,障害性もさまざまである。発症メカニズムや障害部位において厳密な意味では明確となっていない点も存在する疾患である。
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