症例報告
原因不明で片眼を失明した高齢女性の僚眼に発症した重篤な視力障害の1例
秋山 彩香
1
,
花崎 浩継
1
,
加島 陽二
1
1日本大学医学部視覚科学系眼科学分野
キーワード:
肥厚性硬膜炎
,
頭痛
,
造影MRI
,
聴力低下
,
多発血管炎性肉芽腫症
,
高齢者の失明
Keyword:
肥厚性硬膜炎
,
頭痛
,
造影MRI
,
聴力低下
,
多発血管炎性肉芽腫症
,
高齢者の失明
pp.1369-1374
発行日 2020年11月5日
Published Date 2020/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001922
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原因の不明な片眼失明の既往がある高齢女性の僚眼に発症した重篤な視力低下について診断に苦慮した肥厚性硬膜炎の症例を報告する。
原因不明で左眼を失明した82歳女性。右眼の見えづらさを自覚し,発症4日後に当科を初診した。右眼の矯正視力は0.4,1か月後の再診時に光覚弁まで低下していた。頭部CTと血液検査では異常所見はなく,造影MRIで右眼窩先端部から前頭蓋底~右側頭部にかけての硬膜および左前頭蓋底硬膜の造影効果を認めた。臨床的に肥厚性硬膜炎と診断し,ステロイド内服による治療により視力と造影MRI所見が改善した。
本症例は高齢の女性で頭痛と聴力低下の後に視力低下をきたし,少量のステロイド内服で視力回復が得られた。臨床症状に加え造影MRI所見,およびステロイド治療によって視力や画像所見の改善を認めたことから肥厚性硬膜炎と診断した。また対側眼の失明原因についてもMRI所見から本症の可能性は否定できないと考えた。
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