発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013191381
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症例は70歳代男性で、持続する発熱、湿性咳嗽が出現し、近医で抗生物質を処方されるも改善なく、当院救急外来受診となった。入院時、血液検査で右方偏移を伴う白血球増多、CRPの著明な上昇を認め、胸部X線およびCTで右下肺優位、両側肺野に結節影病変、浸潤影の散在が認められた。sulbactam/ampicillin、meropenem、micafunginで治療するも症状改善なく、第10病日にはPR3-ANCA高値であることを認めるも、肺生検、鼻腔内生検では壊死組織が認められたのみであった。第18病日にmethylprednisolone、更にprednisoloneを追加するも呼吸状態は増悪し人工呼吸管理となり、第27病日に両鼻翼に皮下出血、皮膚の肥厚が出現し、更にCrの上昇も認めたためWegener肉芽腫症と診断した。methylprednisolone、cyclophosphamide、血漿交換を開始したものの肺野の浸潤影は急速に拡大し、呼吸状態が増悪、腎機能が低下し第39病日に永眠された。剖検で肺に灰白色の硬化性結節が多発しているのを認め、組織学的に壊死性の血管炎が多発しているのが認められた。また腎臓には細胞性-細胞線維性半月体形成を認め、間質の細胞性浸潤が認められた。Bowman嚢の一部完全な破壊とPAM染色で基底膜の断裂像が認められた。
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