Japanese
English
連載 Clinical Challenge・5
片眼に突然の光視症と視力・視野障害を発症した1例
A case with sudden visual field and visual acuity loss accompanied with photopsia
上野 真治
1
,
寺崎 浩子
1
Shinji Ueno
1
1名古屋大学医学部眼科
pp.936-939
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213633
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症例
患者:20代,女性
現病歴・既往歴:突然右眼にもやがかかったように見えにくくなり,光が走るようになったため近医を受診した。右眼底に白斑を認めぶどう膜炎が疑われたため,原因精査のため名古屋大学医学部附属病院眼科(以下,当科)を紹介され受診となった。既往歴として,3週前に流産にて精神的なダメージを受けていた。
初診時所見:矯正視力は,右(0.3×−6.0D()cyl−1.0D 20°),左(1.2×−5.75D()cyl−0.5D 20°)で,眼圧は両眼とも正常範囲内であった。前眼部に炎症所見はなく眼底に淡い白点がみられた。限界フリッカ値は,右が22Hzと低下していた。静的視野は右眼の盲点の拡大がみられた(図1)。眼底に淡い白点が多数みられ(図2),光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)ではellipsoid zone(EZ)が不連続になっていた(図3)。眼底自発蛍光(fundus autofuluorescence:FAF)では,右眼の後極全体に過蛍光となっていた(図4)。また,多局所網膜電図(electro retinogram:ERG)では,右眼の視野異常を呈する部位に振幅の低下がみられた(図5の丸で囲まれた範囲)。フルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography:FA)では後期に若干の蛍光漏出がみられる程度であったが,インドシアニングリーン蛍光眼底造影(indocyanine green angiography:IA)では後期に多発する斑状の低蛍光がみられた。全身検査の結果は特記すべき異常はなかった。
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