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角膜移植術の歴史は古く,Filatovらが死体眼から採取した角膜を用いて全層角膜移植(penetrating keratoplasty:PK)を報告して以来,角膜ドナー不足の問題を抱えつつも世界中に広がり,近年では角膜移植術は世界で毎年約18万件施行されている。角膜移植の術式は,現在でも広く用いられているPKのほかに,角膜の障害部分を選択的に移植する代表的な角膜パーツ移植として,Descemet stripping automated endothelial keratoplasty(DSAEK)などの角膜内皮移植(endothelial keratoplasty:EK),表層角膜移植(lamellar keratoplasty:LKP)・前部表層角膜移植(anterior lamellar keratoplasty:ALK)・深層層状角膜移植(deep anterior lamellar keratoplasty:DALK)などの技術が確立され,より侵襲の少ない予後良好な術式として定着しつつある。一方で,角膜移植後の移植片不全の発症の危険因子として拒絶反応,ヘルペス性眼疾患を含む活動性眼炎症や角膜新生血管,無水晶体眼や緑内障などの眼合併症があり,移植片不全に陥った場合には再移植(反復角膜移植)を検討する場合がある。既報では,1989年から1995年にかけて行われた再移植の割合は16%,2005年から2019年にかけて米国で実施された総PKの11.3~19.0%と増加しており,他の報告でも近年の角膜移植術で最も頻度の高い適応のひとつは再移植であると報告された(図1)1)~3)。初回PKと比較して,PK後の移植片不全に対する反復PKは移植片生存率が低く,予後が増悪する可能性が示唆されており,角膜移植術における術式選択はますます重要性を増している4)5)。
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