4．眼運動神経麻痺

眼運動神経とは，動眼神経，滑車神経，外転神経の3つを総じて指す。眼運動神経は3つとも脳幹に神経核を持ち，海綿静脈洞を経由して上眼窩裂から眼窩内へと走行し，各支配筋に分布する。眼球運動だけでなく，瞳孔，眼瞼，眼底検査も病巣の推定に役立つため，必ず行う。複視の発症様式や，随伴症状，既往歴も重要である。一番緊急性が高いのは脳動脈瘤による動眼神経麻痺で，疑ったら直ちに脳外科にコンサルトする。外転神経麻痺は頭蓋内圧亢進に伴い生じることがあり，うっ血乳頭の有無を確認する。また，他の眼運動神経麻痺に比べ腫瘍が原因となることが多いため，特に若年者では頭部MRIの撮像を積極的に行う。