症例報告
若年者にみられたフリクテン型マイボーム腺炎角結膜上皮症の2例
木村 芽以子
1
,
坂西 良仁
1
,
海老原 伸行
1
1順天堂大学医学部付属浦安病院眼科
キーワード:
マイボーム腺炎角結膜上皮症
,
結節性角膜浸潤
,
フリクテン
,
角膜炎
,
マイボーム腺機能不全
,
Cutibacrterium acnes
Keyword:
マイボーム腺炎角結膜上皮症
,
結節性角膜浸潤
,
フリクテン
,
角膜炎
,
マイボーム腺機能不全
,
Cutibacrterium acnes
pp.809-814
発行日 2020年8月5日
Published Date 2020/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001772
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フリクテン型マイボーム腺炎角結膜上皮症の症例を2例経験したので報告する。
症例1は14歳男性。左眼に血管侵入を伴う角膜炎を認め,近医でレボフロキサシン1.5%点眼液とフルオロメトロン0.1%点眼液で加療され軽快した。しかし4か月後に再発を認め当院受診。角膜耳側下方からの血管侵入を伴う結節性で白色の角膜浸潤病変を認め,その病変部位と接触する上眼瞼縁にマイボーム腺炎を認めたため,フリクテン型マイボーム腺炎角結膜上皮症の診断となった。クラリスロマイシン内服とベタメタゾンリン酸エステルナトリウム・フラジオマイシン硫酸塩0.1%点眼液,セフメノキシム塩酸塩0.5%点眼液により加療を開始した。その後順調に回復し再発は認めなかった。症例2は7歳女児。角膜炎の診断で近医においてレボフロキサシン点眼液とステロイド点眼液で治療されていたが,3度再発を繰り返し当院へ紹介。フリクテン型マイボーム腺炎角結膜上皮症と診断し,クラリスロマイシン内服の追加と抗菌薬点眼をセフメノキシム塩酸塩点眼に変更した。回復を得たため治療を終了したが,その後も再発し治療の再開を必要とした。マイボーム腺炎が完全に治るまで治療を続け,寛解した。
診断・治療に難渋する角膜炎症例にフリクテン型マイボーム腺炎角結膜上皮症がある。治療にはセフェム系抗菌薬点眼液・ステロイド点眼液が著効するが,再発も多い。再発症例にはマイボーム腺炎に対する根本的な治療が必要だが,クラリスロマイシン内服・温罨法・眼瞼清拭などに限定され今後の課題と思われる。
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