症例報告
中心性漿液性脈絡網膜症に対してhalf-time PDTを施行後にCNVを生じた1例
高田 雄太
1
,
矢合 隆昭
1
,
コンソルボ上田 朋子
2
,
林 篤志
2
1黒部市民病院眼科(黒部市)
2富山大学医学薬学研究部眼科学講座
キーワード:
中心性漿液性脈絡網膜症
,
光線力学療法
,
half-time PDT
,
光干渉断層血管撮影
,
新生血管
,
アフリベルセプト硝子体内注射
Keyword:
中心性漿液性脈絡網膜症
,
光線力学療法
,
half-time PDT
,
光干渉断層血管撮影
,
新生血管
,
アフリベルセプト硝子体内注射
pp.173-178
発行日 2020年2月5日
Published Date 2020/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001552
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中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)は,黄斑部の漿液性網膜剥離により視力低下や変視を生じる疾患である。CSCに対して,光線力学療法(PDT)が有効であり,照射時間を通常よりも半分としたhalf-time PDTは,重篤な合併症の報告はなく,CSCに対して有効であると報告されている。今回,CSC患者に対してhalf-time PDTを施行後,CNVを生じた症例を経験したので報告する。
35歳男性。左眼の見えにくさを自覚し,2018年11月に当院初診。左眼視力は(1.2)で,OCTで黄斑部の漿液性網膜剥離を認めた。蛍光眼底造影検査で脈絡膜血管の拡張を認め,CNVを認めなかったことからCSCの診断で経過観察とした。OCTで漿液性網膜剥離の丈は減少し,自然軽快傾向であったが,3か月後に悪化した。光干渉断層血管撮影(OCTA)で中心窩にCNVは認めず,half-time PDTを施行した。1か月後,左眼視力は(0.4)に低下し,漿液性網膜剥離は改善していたが,黄斑部に出血を認めた。OCTで中心窩に網膜色素上皮の隆起があり,OCTAでCNVを認めた。アフリベルセプト硝子体内注射を1回施行したところ,左眼視力は(1.2)になり,CNVの退縮を認めた。以後再発は認めていない。
CSCに対するhalf-time PDT後に,中心窩にCNVを生じる可能性がある。CNVの治療として抗VEGF薬の硝子体内注射が有効であった。
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