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中心性漿液性脈絡網膜症(central serous chorioretinopathy:CSC)は中年男性に多く,脈絡膜大血管の拡張を伴い,典型例では黄斑部に円状の漿液性網膜剥離(serous retinal detachment:SRD)が貯留する疾患である。発症にはストレスやActive(活動的),Aggressive(攻撃的),Ambitious(野心的),Angry(怒りっぽい)といった性格であるA型気質,喫煙,ステロイドの使用などがリスク因子とされる。自然軽快もあるが,再発率は30~40%との報告もあり,SRDが遷延したり,再発を繰り返したりすると視細胞障害による永続的な視機能障害をきたす。視力が良い症例であっても,歪視や小視症,色覚異常によって不便を生じている場合もあり,外科医やドライバー等の専門職では深刻な影響を及ぼす。CSCを診てゆく際には,視力のみならず,アムスラーチャートやM-CHARTSを用いた歪視の測定や,静的量的視野検査やマイクロペリメトリーを用いた中心感度測定などで包括的な視機能評価を行い,患者の職業や全身疾患などのバックグラウンドを考慮して治療のタイミングを決める必要がある。CSCは自然寛解があるため,初発の場合は半年程度は経過観察に留めてもよい。しかし,患者が見づらさを自覚したのが最近であっても,網膜外層の菲薄化や網膜色素上皮(retinal pigment epithelium:RPE)の萎縮巣,伸長した視細胞外節を示唆するSRD後面の顆粒状の高反射があれば,SRDが慢性化しているサインであり,早めの治療を考える。黄色沈着物(点状プレシピテートや斑状黄色物質)は視細胞障害とRPE障害を引き起こすものと考えられており,治療を検討すべき時期にあることを示す(図1)1)。SRDが多い症例や職業上支障をきたしている場合も早めの治療が必要である。
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