綜説
中心性漿液性脈絡網膜症
小椋 有貴
1
,
五味 文
1
1兵庫医科大学眼科学教室
キーワード:
脈絡膜
,
PNV
,
画像解析
Keyword:
脈絡膜
,
PNV
,
画像解析
pp.235-240
発行日 2021年3月5日
Published Date 2021/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002057
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中心性漿液性脈絡網膜症(central serous chorioretinopathy:CSC)は,若年から中年男性に多く,黄斑部に漿液性網膜剥離(serous retinal detachment:SRD)を生じる疾患である。原因としてはストレス,喫煙,ステロイド長期使用などが挙げられているが,少なくない疾患にもかかわらずはっきりとした原因は解明されていない。以前より,CSCはインドシアニングリーン造影検査(IA)での初期の脈絡膜血管充盈遅延,脈絡膜血管拡張,中期から後期の脈絡膜血管透過性亢進が特徴的な所見であることから,脈絡膜に病態の首座があるのではないかと考えられてきた1)2)。脈絡膜の観察には高深達OCTが不可欠であるが,我々は眼底写真の脈絡膜血管に注目し,正常眼とCSC眼において脈絡膜厚を眼底写真から推定する方法を報告した3)。また,近年,脈絡膜肥厚,脈絡膜血管拡張,脈絡膜血管透過性亢進を特徴とする疾患群を,pachychoroid spectrumと呼称するようになり,CSCやポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)はその代表に挙げられる4)。最近発展が目覚ましいイメージング技術を用いて脈絡膜の構造解析を行い,病態解明へとつながる研究が多数報告されている。本稿ではCSCの分類,脈絡膜の画像解析,pachychoroid関連疾患について述べる。
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