臨床報告
若年糖尿病患者に発症した両眼網膜中心静脈閉塞症1例の長期経過
岡本 紀夫
1
,
五味 文
2
1おかもと眼科(吹田市)
2兵庫医科大学眼科学教室
キーワード:
網膜中心静脈閉塞症
,
両眼
,
糖尿病
,
長期経過
,
central retinal vein occlusion
,
bilateral
,
diabetes mellites
,
long term follow-up
Keyword:
網膜中心静脈閉塞症
,
両眼
,
糖尿病
,
長期経過
,
central retinal vein occlusion
,
bilateral
,
diabetes mellites
,
long term follow-up
pp.1451-1457
発行日 2019年11月5日
Published Date 2019/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001453
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目的
若年糖尿病患者の両眼に網膜中心静脈閉塞症(CRVO)を発症した症例を報告する。
症例
28歳,男性。1週間前より右眼の視力低下を自覚,近医でCRVOと診断され兵庫医科大学眼科を紹介受診した。
初診時所見
視力右(0.5),左(1.0)。眼底検査で右眼は単純糖尿病網膜症,左眼は上耳側の網膜静脈が蛇行,拡張し,網膜出血を認め,視神経乳頭の上半分に境界不鮮明な発赤腫脹を認めた。フルオレセイン蛍光眼底造影検査では,後期像で視神経乳頭の上半部と上耳側の網膜静脈から蛍光色素の漏出を認めたので,乳頭血管炎に伴う半側CRVOと診断した。プレドニゾロン60mgから漸減し嚢胞様黄斑浮腫が消失したので退院となった。
初診日から11年後に,左眼のCRVOと黄斑部に網膜白濁を認めた。2週間後には黄斑部の網膜白濁は明瞭になり,3週間後には上耳側の網膜白濁が増加していたので半側網膜中心動脈閉塞症を合併したと診断した。視神経乳頭上の網膜血管を経時的にみると,2週間後には上下の網膜動脈が狭細化しているが,3週間後には下方の網膜動脈は狭細化が解除されていた。約2か月後には上方の網膜動脈のみ狭細化が残っていた。
結論
糖尿病の経過観察は,網膜症の程度にとらわれがちであるが,CRVOを繰り返し発症することがあるので注意が必要である。
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