特集 第2部 薬物治療の副作用
11 新規薬剤による視神経症
栗本 拓治
1
1神戸大学医学部眼科学教室
キーワード:
薬剤性視神経症
,
免疫チェックポイント阻害剤
,
免疫関連有害事象
,
リネゾリド
,
エタンブトール
,
シルデナフィル
Keyword:
薬剤性視神経症
,
免疫チェックポイント阻害剤
,
免疫関連有害事象
,
リネゾリド
,
エタンブトール
,
シルデナフィル
pp.1255-1259
発行日 2019年9月30日
Published Date 2019/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001395
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中毒性視神経症の原因物質は薬剤,金属,有機溶剤,メタノール,タバコなど多種にわたり,原因物質によりさまざまな臨床症状や検査所見を呈する。共通した臨床症状としては,両側性に無痛性の視力低下が急性~亜急性に生じ,視野変化は,乳頭黄斑線維束の障害を反映した中心暗点,傍中心暗点を呈することが多い。光干渉断層計では,乳頭耳側の辺縁部の菲薄化や黄斑部内層の菲薄化がみられる。そして,ビタミンB群,含硫アミノ酸欠乏症が契機となることがある。鑑別疾患として,主に急性~亜急性に発症する球後視神経症が含まれ,栄養障害性視神経症,優性遺伝性視神経症,圧迫性視神経症,浸潤性視神経症,脱髄性疾患による視神経炎,黄斑ジストロフィ,梅毒性視神経症,放射線性視神経症,心因性視覚障害などが挙げられる。本項では,中毒性視神経症のなかでも,薬剤による中毒性視神経症(以下,薬剤性視神経症)について,最近,がん治療の分野で目覚ましい治療成果を出している免疫チェックポイント阻害剤による眼合併症を含め,代表的な薬剤について解説する。薬剤性視神経症には,明確な診断基準はないため,問診,眼科所見,臨床経過を含めて総合的に判断しなければならない。何より診断に大切なことは,まず,薬剤性視神経症の存在を疑うことである。各薬剤により病態は異なるため,薬剤に関する知識も知っておくことは大切と思われる(表1)。
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