特集 第2部 薬物治療の副作用
10 眼科で使用する免疫抑制薬(シクロスポリン)の副作用
楠原 仙太郎
1
1神戸大学大学院医学研究科 外科系講座眼科学分野
キーワード:
シクロスポリン
,
春季カタル
,
非感染性ぶどう膜炎
,
作用機序
,
副作用
,
血中濃度モニタリング
Keyword:
シクロスポリン
,
春季カタル
,
非感染性ぶどう膜炎
,
作用機序
,
副作用
,
血中濃度モニタリング
pp.1249-1254
発行日 2019年9月30日
Published Date 2019/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001394
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眼科で使用される免疫抑制薬で保険適用を取得している薬剤はシクロスポリンのみである。シクロスポリンは真菌の代謝産物として発見された天然物医薬品であり,疎水性の環状ポリペプチドを有しカルシニューリンを阻害することによってT細胞を介した免疫を抑制する。シクロスポリンはその優れた効果から臓器移植後の拒絶反応抑制やアトピー性皮膚炎の治療等で使用されてきた。眼科領域では,抗アレルギー薬が効果不十分な春季カタルに対してはシクロスポリン点眼薬が,眼症状を有するベーチェット(Behçet)病もしくは既存治療で効果不十分であり視力低下のおそれのある活動性の中間部または後部の非感染性ぶどう膜炎に対してはシクロスポリン内服薬が,それぞれ使用可能である。非感染性ぶどう膜炎に対するエビデンスに基づいた適切な全身治療の国際的なコンセンサスを得るために組織されたthe Fundamentals Of Care for UveitiS(FOCUS)global initiativeにおいて,シクロスポリン内服は炎症のコントロール,視力の維持または改善,副腎皮質ステロイドの減量,のいずれにおいても,エビデンスレベル2B,推奨レベルB,として位置づけられており,非感染性ぶどう膜炎の治療においては中心的な役割を担っている1)。このようにシクロスポリンはその臨床的有効性が評価されている薬剤であるが,腎障害や肝障害,神経障害などの副作用が報告されており,その使用に際しては十分な副作用対策が必要となる。
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