症例報告
Enterococcus casseliflavusによる内因性眼内炎の1例
犬塚 将之
1
,
村田 一弘
1
,
小澤 憲司
1
,
望月 清文
1
1岐阜大学医学部附属病院眼科
キーワード:
眼内炎
,
Enterococcus casseliflavus
,
バンコマイシン自然耐性
,
リネゾリド
,
endophthalmitis
,
vancomycin resistance
,
linezolid
Keyword:
眼内炎
,
Enterococcus casseliflavus
,
バンコマイシン自然耐性
,
リネゾリド
,
endophthalmitis
,
vancomycin resistance
,
linezolid
pp.1463-1468
発行日 2020年12月5日
Published Date 2020/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001959
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Enterococcus casseliflavusはバンコマイシンに対して自然耐性を有する腸球菌で,本菌による眼内炎はまれで視力予後が不良とされている。今回,E. casseliflavusによる内因性眼内炎の1例を経験したので報告する。
症例は65歳,男性。職業はリサイクル業。2週間前より左眼の眼痛が出現,2日前から充血も認め近医眼科を受診し,左眼ぶどう膜炎を指摘され精査加療のため当科を紹介受診した。受診時の左眼矯正視力は光覚弁で,眼圧は20mmHgであった。細隙灯顕微鏡検査では著明な毛様充血,角膜浮腫,Descemet膜皺襞および前房出血を伴う前房蓄膿を認めた。左眼の眼底は透見不能であった。即日入院とし,レボフロキサシン,ベタメタゾンおよびアトロピンの点眼,セフォゾプランおよびプレドニゾロンの全身投与を開始した。入院後4日目に経毛様体扁平部硝子体切除術および超音波水晶体乳化吸引術を施行した。その後,初診時の血液培養は陰性であったが術中採取した硝子体液からE. casseliflavusが検出され,眼内への薬剤移行性を考慮しリネゾリド内服に変更した。眼内の炎症は徐々に軽減しいったん退院となったが,牽引性網膜剥離がみられたため初回手術後6週目に再手術を施行した。最終矯正視力は0.08で,全身検索では異常を認めていない。
眼内炎に対しては,バンコマイシンとセフタジジムの硝子体内投与が推奨されているが,本例でみられたE. casseliflavusに対しては,バンコマイシン自然耐性であるのでリネゾリドを含めた他剤の使用を検討するべきである。
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