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非感染性ぶどう膜炎の治療は炎症の程度,部位によりまずステロイドの局所または全身投与が行われる。しかし,長期のステロイド投与は眼局所投与では白内障の進行,ステロイド緑内障の発症が生じ,全身投与では精神症状,消化器症状,糖尿病,骨粗鬆症など多くの副作用が生じる可能性がある。実際ヨーロッパリウマチ学会(EURA)では,長期にわたってステロイド全身投与が必要な症例についてもその投与量は5mg/日を推奨しており,10mg/日以上の投与はriskがbenefitを上回るとしている。日本ではステロイド以外の免疫抑制剤の使用は,シクロスポリンと生物製剤であるアダリムマブ(中間部・後部・汎ぶどう膜炎)およびインフリキシマブ(Behçet病)に限定されているため,長期間のステロイド全身投与が行われている症例も散見される。一方で欧米においては,全身ステロイド治療を長期使用することはせず,①ステロイド全身治療開始後3~4週間経過しても反応しない場合,②ステロイド治療開始後4週間経過しても炎症が残っている場合,③ステロイドへの反応はあるものの,炎症コントロールのためにプレドニゾロン換算で10mg/日以下にできない場合などは免疫抑制剤の導入が積極的に行われている。欧米では炎症コントロールの成功率が高く,副作用による中止率が低く,外来治療で扱いやすいメトトレキサート(methotrexate:MTX),ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil:MMF)が一般的に広く使用されている(表1)1)。本稿ではMTX,MMFに加えて日本で適応のあるシクロスポリン(cyclosporine A:CyA)について概説する。
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