特集 第2部 薬物治療の副作用
9 眼科で使用する生物学的製剤の副作用
中井 慶
1
1淀川キリスト教病院眼科(大阪市)
キーワード:
免疫抑制薬
,
抗TNFα抗体製剤
,
インフリキシマブ
,
アダリムマブ
Keyword:
免疫抑制薬
,
抗TNFα抗体製剤
,
インフリキシマブ
,
アダリムマブ
pp.1245-1247
発行日 2019年9月30日
Published Date 2019/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001393
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実際,ぶどう膜炎疾患では,ステロイド薬治療で,多くの症例では眼内炎症の鎮静が可能である。しかし長期間にわたるステロイド内服治療により高血糖,骨粗鬆症,大腿骨頭壊死(図1),消化性潰瘍,感染症などさまざまな副作用が出現する1)。そのためステロイド薬の漸減は必須であるが,ステロイド薬を減量すると再燃を繰り返す症例が少なからず存在する。それらに対しては,シクロスポリン2)に代表される免疫抑制薬や2016年に認可されたアダリムマブ3)などの抗TNFα抗体製剤を併用し,ステロイド薬を減量する治療が推奨される。ぶどう膜炎に保険適用があるのは,免疫抑制薬はシクロスポリン,抗TNFα抗体製剤(生物学的製剤)はインフリキシマブ〔ベーチェット(Behçet)病ぶどう膜炎〕,アダリムマブ(既存治療で効果不十分な非感染性ぶどう膜炎)である。たとえば,Vogt-小柳-原田病の症例で,ステロイドを減量すると炎症が再燃する症例では,まずシクロスポリンを併用,それでも再燃し,ステロイドが5~10mg程度へ減量できない症例では抗TNFα抗体製剤(アダリムマブ)を導入し,ステロイドの減量,中止を目指す。眼炎症発作を繰り返すベーチェット病では,シクロスポリンを用いることなく,抗TNFα抗体製剤(インフリキシマブ)を導入する場合もある。それにならって,重症例,視力が脅かされている症例は,早期のアダリムマブ導入はあり得るので,繰り返しになるが,漫然とステロイドの増減を繰り返すべきではなく,免疫抑制薬であるシクロスポリン,抗TNFα抗体製剤(生物学的製剤)の導入を,慎重かつ積極的に検討すべきである。
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