症例報告
多発性骨髄腫の片眼にみられたparaproteinemic maculopathy
岡部 夏樹
1
,
渡辺 勝
1
,
藤谷 暢子
1
,
飯島 裕幸
2
1富士市立中央病院眼科(富士市)
2山梨大学大学院総合研究部眼科学
キーワード:
異常蛋白血症黄斑症
,
漿液性網膜剥離
,
多発性骨髄腫
,
paraproteinemic maculopathy
,
serous retinal detachment
,
multiple myeloma
Keyword:
異常蛋白血症黄斑症
,
漿液性網膜剥離
,
多発性骨髄腫
,
paraproteinemic maculopathy
,
serous retinal detachment
,
multiple myeloma
pp.1107-1112
発行日 2022年11月5日
Published Date 2022/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002862
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網膜中心静脈閉塞症(CRVO)様の眼底変化が両眼にみられ,片眼に漿液性網膜剥離(SRD)による視力低下を生じた比較的若年女性の症例を経験した。血液検査から多発性骨髄腫によるparaproteinemic maculopathyと診断し治療を行ったので経過を報告する。
症例は42歳女性で右眼の視力低下を主訴に受診した。両眼にCRVO様の出血と静脈の拡張・蛇行を認め,OCTで右眼の黄斑部にSRDを認めた。血液検査で高濃度のIgA-κ型M蛋白を示すparaproteinemia(異常蛋白血症)が明らかとなり,多発性骨髄腫と診断された。治療開始後1か月,SRDが残存する時点で行ったフルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)では蛍光漏出や蛍光貯留所見を欠いていた。その後の追加化学療法の継続によるIgA値の低下に伴いSRDの丈が減少し,視力も回復した。
多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症など過粘稠度症候群をきたす病態では,網膜静脈の拡張・蛇行や網膜出血以外に黄斑部SRDを示すparaproteinemic maculopathyを生じることがある。
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