網膜橋渡し研究アップデート
1.分子標的薬(抗血管新生療法)
栗原 俊英
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
pp.1513-1518
発行日 2018年11月5日
Published Date 2018/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000943
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
橋渡し研究とは基礎研究の成果を医薬品や医療機器として臨床の現場で実用化することを目的とする研究領域であり,基礎研究で見つかった有望な「シーズ」を臨床の現場の「ニーズ」に結び付けることを目指して,世界中で数多くの前臨床研究や治験が実施されている。網膜硝子体分野においては,1990年代から飛躍的に進歩した抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)療法の確立1)と光干渉断層撮影(optical coherence tomography:OCT)の開発2)などにより,滲出型加齢黄斑変性をはじめとする難治性網膜疾患の予後を大きく向上させた。このように,橋渡し研究によってアンメットニーズに応える治療法や診断・手術用医療機器が臨床の現場に届けられれば,我々の日常診療は劇的に改善され得る。本連載では,現在国内外で治験段階に入っている分子標的薬,遺伝子治療,細胞療法,医療機器などをレビューすることで,網膜橋渡し研究の現状を紹介したい。
Copyright © 2018, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.