眼科臨床研究における統計学のQ&A
Q5.多変量解析で,たとえばAMD,PCV,RAPなど3つ以上の病型を説明変数にする際にはどのように扱うのが良いでしょうか?
川崎 良
1
1大阪大学大学院医学系研究科・視覚情報制御学(トプコン)寄附講座
pp.1507-1512
発行日 2018年11月5日
Published Date 2018/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000942
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
A5. 多変量解析を用いてアウトカム指標との関連を評価する際に,AMD(加齢黄斑変性),PCV(ポリープ状脈絡膜血管症),RAP(網膜内血管腫状増殖)など3つ以上のカテゴリーを持つ説明変数とする際には「ひとつのグループを基準としてその他のグループと比較する」ことが一般的です。たとえば質問にある「AMD」,「PCV」,「RAP」の3群間で多変量解析を用いて治療後の視力改善の度合いを評価するような場合は,「AMD群を基準としてPCV群ではどうか?」,「AMD群を基準としてRAP群ではどうか?」という比較をします。基準は研究者が任意に決めることができます。また,特定の2つの群間の比較,たとえばPCV群とRAP群のみの比較を行う場合は,AMDを除いたモデルで評価することになるでしょう。
説明変数として名義変数を用いる場合は単にグループ間の違いを比較することになりますが,順序変数であれば「単調に増加する」あるいは「単調に減少する」といった傾向を評価することもできます。また,連続変数をあるカットオフ値を使ってカテゴリー変数に変換したうえで解析することで,単調増加・減少ではなくJ字やV字の関係にあることを想定したモデルを考えることもできます。
Copyright © 2018, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.