特集 糖尿病網膜症の最新情報を読み解く
5 硝子体手術~最新の治療成績,同時手術の適応,眼血流への影響
岩瀬 剛
1
1名古屋大学眼科学・感覚器障害制御学教室
キーワード:
糖尿病網膜症
,
増殖糖尿病網膜症
,
糖尿病黄斑浮腫
,
硝子体手術
,
同時手術
,
眼血流
Keyword:
糖尿病網膜症
,
増殖糖尿病網膜症
,
糖尿病黄斑浮腫
,
硝子体手術
,
同時手術
,
眼血流
pp.905-911
発行日 2018年9月5日
Published Date 2018/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000776
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現在の糖尿病網膜症に対する硝子体手術の適応は,増殖糖尿病網膜症(PDR)と糖尿病黄斑浮腫である。以前のPDRへの硝子体手術の適応は6か月以上持続した硝子体出血と黄斑にかかる牽引性網膜剥離であった。しかし,黄斑剥離を生じてから長期間経過すると黄斑部視細胞の機能低下により,視力の回復が難しくなることから,早期に手術を行うようになってきた。現在では,1か月間持続する硝子体出血,黄斑剥離になりそうな牽引性網膜剥離,進行性の線維血管増殖に対しても硝子体手術の適応が広がっている。軽度の増殖性変化に対しても,PDR症例では後部硝子体膜剥離がないことが多く,網膜新生血管が硝子体皮質を足がかりに伸展し,線維血管組織となって将来黄斑に牽引を生じることがあるので,早期の硝子体手術が有効であると考える。このように,少しでも良質な術後視機能を目指して,より早期からの硝子体手術による介入が推奨され,増殖糖尿病網膜症への適応は拡大してきている。
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