特集 糖尿病網膜症の最新情報を読み解く
4 糖尿病黄斑浮腫に対する標準的治療
髙村 佳弘
1
1福井大学眼科学教室
キーワード:
糖尿病黄斑浮腫
,
抗VEGF薬
,
ステロイド
,
網膜光凝固
,
硝子体手術
Keyword:
糖尿病黄斑浮腫
,
抗VEGF薬
,
ステロイド
,
網膜光凝固
,
硝子体手術
pp.897-903
発行日 2018年9月5日
Published Date 2018/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000775
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糖尿病黄斑浮腫(DME)に対する標準的治療は,時代とともに変遷している。1980年代ではレーザー治療が広く行われ,90年代には硝子体手術による治療も導入された。2000年代はステロイドや抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬といった薬物治療が中心となった。特に抗VEGF薬は脳梗塞や心筋梗塞の発生リスクが懸念されるものの,浮腫改善効果が劇的で,比較的安全と考えられ,DME治療の第一選択として使用されることが多い。ただし,抗VEGF薬に限らず,薬物治療はその治療効果を維持するには頻回投与が必要となる。抗VEGF薬単独治療において他の治療と併用もしくは切り替えをする前に何回注射するか,とのアンケート調査では23%の網膜治療の専門家が3回と答え,18%は少なくとも5回と答えた1)。ただし抗VEGF薬は高額な薬でもあり,頻回投与により医療経済や患者にとっての負担が大きくなることも問題として挙げられる。抗VEGF薬が効きにくい症例の特徴を見極め,限られた注射回数でも有効な治療効果が得られる工夫を模索することも重要であろうと思われる。
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