特集 眼科外来診療 ―クリニックでの対応と紹介のタイミング―
Ⅳ 網膜硝子体 4 糖尿病黄斑浮腫を診ていくうえでのポイント
平野 隆雄
1
1信州大学眼科学教室
キーワード:
糖尿病黄斑浮腫
,
抗VEGF療法
,
レーザー治療
,
ステロイド療法
,
硝子体手術
Keyword:
糖尿病黄斑浮腫
,
抗VEGF療法
,
レーザー治療
,
ステロイド療法
,
硝子体手術
pp.1256-1261
発行日 2024年11月14日
Published Date 2024/11/14
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003875
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糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)は糖尿病網膜症の全病期で発症する可能性があり,糖尿病患者全体の7%程度に生じるとされる1)。DME患者の39%で視力障害を認め,発症年齢の平均が50歳と比較的若いことから就労年齢層における視力低下の原因として問題となる2)3)。DMEの病態は複雑で,血管閉塞・血管透過性亢進による血流障害・膠質浸透圧低下,後部硝子体膜の牽引などさまざまな要因が関与する。なかでも,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)の血管透過性亢進作用はDME発症の中心的な役割を担うことが知られている。近年ではその良好な治療成績からDMEの治療においてこのVEGFを抑制する抗VEGF療法が第一選択とされることが多い4)。しかし,抗VEGF療法には治療が複数回必要であること,薬価が高いこと,眼内炎・眼内炎症等の合併症のリスクなどの問題も挙げられる。そのため,抗VEGF療法のみに頼るのではなく,病態に応じた治療選択が重要となる。治療選択肢の増加,治療技術の進歩により,適切な時期に適切な治療を選択すればDMEは視力維持のみならず視力改善が望める疾患となりつつある。そのため,自施設でどこまでの検査・治療が行えるかを判断し,行えない場合には基幹病院へ適切な時期に紹介することが重要となる。本稿ではDMEに対する治療と紹介を考えるタイミングについて解説する。
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