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光干渉断層血管撮影(optical coherence tomography angiography:OCTA)は,広く普及した光干渉断層計(OCT)を用いて,連続的にB-scanを撮影し3次元のen-face画像を構築する機能を拡張した新しい技術である。同部位を高速で複数枚撮影することによって得られるmotion contrast,すなわち,血流の動き(赤血球の動き)の情報のみを信号(flow signal)として画像化することで,網脈絡膜の血管構築を非侵襲的に描出することができる。そのため,OCTAは糖尿病網膜症における微小血管病変を非侵襲的に評価できる新たなツールとして大きな注目を集めている1)。一方で,通常の眼底検査に加え,OCTとフルオレセイン蛍光眼底造影検査(fluorescein angiography:FA)があれば,糖尿病網膜症の診療は十分に可能であり,OCTAが必須の検査とはいえない。しかし,急速に進化するOCTAをもし使える環境があるならば,そこにOCTAを追加することで,さらに緻密で高度な診療を実現できることは疑いようのない事実となりつつある。簡便かつ非侵襲であることによる反復撮影,層別解析や,造影剤漏出の影響を受けないことによる境界明瞭な血管描出などといった利点から,糖尿病網膜症における血管病変の新たな評価基準が構築されてきている。また2018年度から診療報酬も算定できるようになり,最近のwide angle viewing OCTAは,FAの代用としてのOCTAの存在価値をさらに高めている。本項では,OCTAから得られる糖尿病網膜症の新知見を黄斑部と周辺部に分けて整理し,引用文献を多めに記載して原著を辿れるようにした。今後標準検査となり得るOCTAを理解し,活用する一助となれば幸いである。
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