原著
続発性巨大角膜アミロイドーシスの加療に対する前眼部光干渉断層計の有用性
鄭 暁東
1,2
,
三谷 亜里沙
1
,
白石 敦
1
,
五藤 智子
2
,
小林 剛
1
1愛媛大学眼科学教室
2はなみずき眼科(松山市)
キーワード:
眼瞼内反症
,
角膜アミロイドーシス
,
前眼部光干渉断層計
,
entropion
,
corneal amyloidosis
,
anterior segment optical coherence tomography
Keyword:
眼瞼内反症
,
角膜アミロイドーシス
,
前眼部光干渉断層計
,
entropion
,
corneal amyloidosis
,
anterior segment optical coherence tomography
pp.531-537
発行日 2018年5月5日
Published Date 2018/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000663
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目的
下眼瞼内反症に起因した巨大角膜アミロイドーシスの摘出にあたり,前眼部光干渉断層計(OCT)での観察が有用であったので報告する。
症例
68歳女性。近医より右眼の“角膜腫瘤”によって愛媛大学に紹介受診となる。約20年間にわたり右眼の異物感,羞明,流涙などの症状があった。初診時視力は右眼0.2(n.c.)と低下しており,眼圧は右14mmHg。右高度結膜充血,眼脂を認め,角膜には瞳孔領から下方にかけて約6×9mmの巨大な白色隆起物を認めた。隆起物は硬質で可動性に乏しく,角膜下方輪部より多数の新生血管侵入を認め,同部位では下眼瞼内反症により睫毛が角膜に接触していた。これらの臨床所見から,眼瞼内反症に続発した角膜アミロイドーシスと診断した。前眼部OCTでは角膜ボウマン(Bowman)膜の断裂と実質浅層に及ぶ占拠性病変が確認されたため,角膜表層切除術とJones変法内反症手術を同時に行った。切除病変のCongo red染色は陽性であった。術後の眼瞼内反矯正は良好で,1週間後に角膜上皮は修復し,術後1か月の矯正視力は0.8まで回復した。前眼部OCTで角膜実質浅層の淡い混濁と菲薄化を認めるものの乱視は術前より著明に改善された。
結論
長期にわたる眼瞼内反,睫毛刺激により角膜アミロイドーシスが巨大化し腫瘤性病変を呈した。角膜表層切除と眼瞼内反症同時手術によって視機能は回復し,前眼部OCTは病変範囲の把握や術式の選択,および術後のフォローに有用であった。
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