症例
食道癌化学放射線療法後に転移性骨腫瘍との鑑別を要した化膿性脊椎炎・脊椎硬膜外膿瘍の1例
宮田 裕作
1
,
鈴木 弦
,
江藤 英博
,
末藤 大明
,
村木 宏一郎
,
氷室 秀知
,
淡河 恵津世
,
安陪 等思
1久留米大学 放射線医学講座
キーワード:
腫瘍多剤併用療法
,
誤診
,
骨腫瘍
,
MRI
,
食道腫瘍
,
鑑別診断
,
X線CT
,
放射線障害
,
致死的転帰
,
硬膜外膿瘍
,
剖検
,
放射線化学療法
,
脊椎炎-化膿性
,
FP Protocol
Keyword:
Antineoplastic Combined Chemotherapy Protocols
,
Bone Neoplasms
,
Diagnosis, Differential
,
Diagnostic Errors
,
Esophageal Neoplasms
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiation Injuries
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Fatal Outcome
,
Epidural Abscess
,
Chemoradiotherapy
,
FP Protocol
pp.567-570
発行日 2017年4月10日
Published Date 2017/4/10
DOI https://doi.org/10.18888/J01565.2017248430
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症例は60歳代男性で、食道癌に対して少量FP併用放射線治療を施行し、治療効はSDであった。少量FP療法を2サイクル施行したが治療1ヵ月後に嚥下困難と噴出性嘔吐を認めた。局所腫瘍再増殖の診断で、食道ステント留置術を施行した。TS-1を内服していたが両下肢麻痺が出現した。MRIでは、T1強調像でステント背側の第7頸椎および第1胸椎が椎間板をまたいで低信号を呈し、同部位はT2強調像でも不均一な低信号を呈した。STIRでは同レベルの脊髄内に中心性の高信号域を認め、血流障害が示唆された。転移性骨腫瘍に伴う脊髄圧迫の診断で放射線療法を開始すると共に、ステロイド内服を併用した。入院2日目、頸部の激痛を訴え、オピオイドによる除痛を行ったが、徐々に意識レベルが低下し、放射線療法は初日のみで中止した。意識レベル低下が持続し、39℃台の高熱とSpO2低下を認めた。プロカルシトニン1.02ng/mlであったため、広域抗菌薬を開始した。入院4日目に死亡し、病理解剖を行った。第7頸椎、第1胸椎に異形細胞は認めず、著明な炎症細胞浸潤と膿瘍形成を認め、化膿性脊椎炎と脊椎硬膜外膿瘍の所見で、髄膜炎、脊髄炎も伴った。
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