症例
1年以上の経過観察が得られた孤立性上腸間膜動脈解離の2例
中谷 貴美子
1
,
伊藤 悟志
,
藤本 枝里
,
山崎 浩史
,
川田 愛
,
笹 聡一郎
,
谷田 信行
1高知赤十字病院 放射線科
キーワード:
病的狭窄
,
血栓症
,
X線CT
,
動脈瘤-解離性
,
上腸間膜動脈
,
待機療法
Keyword:
Aneurysm, Dissecting
,
Constriction, Pathologic
,
Thrombosis
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Mesenteric Artery, Superior
,
Watchful Waiting
pp.459-462
発行日 2017年3月10日
Published Date 2017/3/10
DOI https://doi.org/10.18888/J01565.2017202877
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症例1は50歳代男で、腹痛、下痢、嘔吐、血便を主訴とした。症例2は30歳代男で、突然の腹痛、下痢を主訴とした。2例はCT所見にて上腸間膜動脈解離と偽腔の血栓化、真腔の狭窄を認め、孤立性上腸間膜動脈解離と診断した。ともに腸管虚血は認めず、症例1は保存的治療のみで回復し、症例2は経過中に動脈瘤の形成を認めるも、瘤形成後1年9ヵ月の時点で拡大傾向は認めていない。2例とも喫煙歴があったが、高血圧症を有していたのは1例のみであり、血液検査ではいずれも白血球数は来院時に最も高く、数日遅れてCRPが最高値を示した後に低下するという経過をたどった。また、いずれも1週間以内に食事再開となり、腹痛の再燃を認めることなく2週間以内に退院した。孤立性上腸間膜動脈解離はdynamic造影CTで比較的正確に診断できるため、腎機能に留意して積極的に施行することが重要と考えられた。
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