症例
先天性門脈欠損症に発生した多発結節性限局性脂肪肝の1例
和田 憲明
1
,
染原 有希子
,
宮嶋 公貴
,
鶴田 悟
,
吉河 康二
1国立病院機構別府医療センター 放射線科
キーワード:
MRI
,
脂肪肝
,
生検
,
門脈
,
血管奇形
,
腹部CT
Keyword:
Biopsy
,
Fatty Liver
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Portal Vein
,
Vascular Malformations
pp.463-467
発行日 2017年3月10日
Published Date 2017/3/10
DOI https://doi.org/10.18888/J01565.2017202878
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
44歳男。先天性門脈欠損症患者であり、大動脈弓部置換術後2ヵ月目のCT検査で肝内に多発する低吸収結節の出現を確認した。多発結節は造影CT動脈優位相から平衡相のいずれの相でも周囲肝実質よりも低吸収を呈し、造影効果は認めなかった。また、肝内の多発結節は腹部MRI T1強調像のin-phaseで高信号、opposed-phaseで信号低下を示し、拡散強調像では結節内に高信号域を認めなかった。確定診断のため肝生検を行い、病理組織像より多発結節性の限局性脂肪肝と診断された。本症例ではアルコール多飲や肝炎ウイルスの保持、糖尿病は認めず、脂肪肝の原因として術後の中心静脈栄養による糖の過剰投与の影響が疑われ、門脈血流欠損による肝内血行動態の不均衡が多発結節性の脂肪沈着に関与している可能性が示された。
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.