発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009246584
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症例1:47歳男。腹痛が出現し、他院にて大動脈上腸間膜動脈(SMA)血栓症が疑われ試験開腹されたが、腸管虚血所見はなかった。後日のmulti-detector row CT(MDCT)で孤立性SMAと診断され当科紹介となった。MDCTではSMAに限局した解離を認め、解離腔は開存していた。三次元構築画像ではSMA起始部3cm~5cmに及ぶ偽腔による真腔圧排像を認めた。開腹したところ、解離部に一致してSMAは周囲と癒着していた。腎動脈下大動脈を部分遮断し、グラフトは6mmのリング付きexpanded polytetrafluoroethylene製人工血管を選択して大動脈SMAバイパスを施行した。末梢吻合はSMA前面で行った。術後のMDCTでグラフトはCループを描き、開存が確認された。術後10ヵ月経過でも開存は維持され、症状の再燃はない。症例2:82歳女。腹痛が出現し、MDCTでSMA起始部に90%狭窄を認め、腎動脈下大動脈は石灰化していた。症例1と同様のバイパス術を施行し、末梢吻合はSMA後面で行った。術後のMDCTでグラフトは短い経路を通り、開存が確認された。術後9ヵ月経過でも開存は維持され、症状再燃はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009