症例
環状紅斑と血管腫様の皮疹を呈した乳癌の皮膚転移の1例
佐藤(平野) 有規奈
1
,
安藤 高志
,
高阪 絢子
,
高橋 恵美子
,
原 一夫
,
渡辺 大輔
1愛知医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
血管腫
,
甲状腺腫瘍
,
乳房腫瘍
,
肺腫瘍
,
皮膚腫瘍
,
免疫組織化学
,
Tubulin Modulators
,
癌性リンパ管症
,
紅斑-環状
Keyword:
Breast Neoplasms
,
Hemangioma
,
Immunohistochemistry
,
Lung Neoplasms
,
Skin Neoplasms
,
Thyroid Neoplasms
,
Tubulin Modulators
pp.373-376
発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2017200159
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61歳女性。乳癌の腋窩リンパ節再発に対する治療中であったが、前胸部に軽度のそう痒を伴う紅斑が出現、皮疹が頸部まで拡大したため紹介となった。初診時、左胸部から左頸部にかけて、環状紅斑と血管腫様の紅色小丘疹がみられた。病歴・臨床所見と病理・免疫組織学的所見から、乳癌の皮膚転移と診断された。そう痒に対しステロイド外用剤による対症療法を行ったが、3ヵ月後に皮膚硬化と小丘疹の拡大・増加がみられた。再度行った皮膚生検では真皮のリンパ管拡張、リンパ管およびリンパ管周囲組織への腫瘍細胞の浸潤がみられ、乳癌の皮膚転移における炎症型と考えられた。その後、甲状腺転移と右肺野の癌性リンパ管症の出現が疑われたため、治療薬が抗HER2ヒト化モノクローナル抗体・アロマターゼ阻害薬から抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体に変更された。その結果、原疾患の進行が抑制されるとともに、皮膚所見も軽快傾向を示した。
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