特集 真菌症
秋田県で発生した黒癬の1例
鈴木 長男
1
,
安澤 数史
,
望月 隆
,
木村 鉄宣
1すずき皮膚科クリニック
キーワード:
PCR法
,
経皮投与
,
皮膚疾患-手部
,
Lanoconazole
,
真菌培養
,
皮膚鏡検査
,
黒癬
,
Hortaea werneckii
Keyword:
Administration, Cutaneous
,
Hand Dermatoses
,
Polymerase Chain Reaction
,
Dermoscopy
,
Latoconazole
pp.683-687
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016318344
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39歳男。手掌の色素斑を主訴とした。約30年前より右手掌に皮疹があり、入浴時に手掌がボコボコ浮かび上がるのが気になっていた。特に右手の関節部屈側と手掌中央部に色素沈着を認め、関節部は中枢側が境界明瞭、末梢側は境界不明瞭な茶褐色斑がみられた。水分浸漬で病変部が膨張し、明瞭化した。生検で角層に真菌要素を認めたが、その後来院せず、精査の機会を失った。初診から5年3ヵ月後に再院し、手掌部からの直接鏡検で隔壁を有する幅の均一でない淡褐色調の菌糸を認めた。真菌培養の結果、暗色のコロニーが得られ、分離菌は巨大培養、スライドカルチャー、リボゾーム遺伝子のITS領域のPCRでHortaea werneckiiと同定された。ダーモスコピーでは表在性、微細点状、モザイク状、網目状を呈する淡褐色の色素沈着を認めた。黒癬と診断し、ラノコナゾールクリームの外用を開始したところ、3ヵ月後に軽快した。
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