特集 真菌症
顔面に生じたArthroderma vanbreuseghemiiによる体部白癬の1例
望月 弘和
1
,
竹田 公信
,
阿部 真也
,
安澤 数史
,
望月 隆
1金沢医科大学 皮膚科
キーワード:
真菌RNA
,
白癬
,
皮膚疾患-顔面
,
Terbinafine
,
真菌培養
,
分子診断技法
,
Arthroderma vanbreuseghemii
,
Transcribed Spacer
,
Trichophyton mentagrophytes
Keyword:
Facial Dermatoses
,
Tinea
,
RNA, Fungal
,
Molecular Diagnostic Techniques
,
Terbinafine
pp.662-663
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016318339
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症例は71歳女性で、鼻尖部と上口唇の紅斑を主訴とした。鱗屑の検鏡で菌糸を認め、セロハンテープ法で真菌培養を行ったところ、マイコセル寒天培地上に白色の粉状のコロニーが発育した。分離株はスライドカルチャーでは小球形の小分生子とらせん器官が豊富に生じ、壁が薄く葉巻状の大分生子も認められた。交配試験ではArthroderma vanbreuseghemii(-)株と交配が成立したため、分離株をArthroderma vanbreuseghemii(+)(無性世代Trichophyton mentagrophytes)と同定した。分離株のリボゾームRNA遺伝子のITS領域の塩基配列をプライマーペアITS-1、ITS-4を用いて決定したところ、Arthroderma vanbreuseghemiiと99.9%の相同性を認めた。以上から、顔面に生じたArthroderma vanbreuseghemiiによる体部白癬と診断し、テルビナフィン塩酸塩クリームの外用、テルビナフィン塩酸塩錠125mgの内服を開始し、約1ヵ月後に治癒した。
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