症例
COL1A1-PDGFB融合遺伝子解析を行った萎縮性隆起性皮膚線維肉腫の1例
南里 文
1
,
猿田 寛
,
谷 直美
,
永田 寛
,
十亀 良介
,
夏秋 洋平
,
井上 義彦
,
大畑 千佳
,
古村 南夫
,
名嘉眞 武国
1久留米大学 皮膚科学教室
キーワード:
皮膚腫瘍
,
免疫組織化学
,
皮膚線維肉腫
,
RT-PCR法
,
sis遺伝子
,
皮膚外科
,
Collagen Type I Alpha 1
Keyword:
Immunohistochemistry
,
Skin Neoplasms
,
Dermatofibrosarcoma
,
Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction
,
Genes, sis
,
Dermatologic Surgical Procedures
,
Collagen Type I, Alpha 1 Chain
pp.585-589
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280962
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症例は34歳女性で、7歳頃、左鎖骨部に紅斑が出現し、緩徐に増大してきたため受診した。左鎖骨部に40×35mm大で、境界一部不明瞭な萎縮性紅色局面を認め、弾性硬で、皮下組織との可動性は保たれていた。真皮は菲薄化しており、菲薄化した真皮全層と一部脂肪織内に紡錘形の線維芽細胞様細胞が花むしろ状配列を呈し増殖していた。増殖する細胞はCD34陽性、ビメンチン、S-100は陽性、第XIIIa因子、α-平滑筋アクチン、デスミン、CD1a、CD68は陰性であった。胸部造影CTで鎖骨領域の真皮から脂肪織に限局する、造影効果のある腫瘍性病変を認めた。筋層への浸潤はみられなかった。所属リンパ節腫脹はなく、遠隔転移巣も認めなかった。遺伝子検査でCOL1A1エクソン17とPDGFBエクソン2の融合遺伝子が証明された。以上より、萎縮性隆起性皮膚線維肉腫(aDFSP)と診断し、全身麻酔下に病変部より5cm離し、下床は広頸筋を一部を含めた広範囲に切除した。切除断片は側方、深部ともに陰性で、術後15ヵ月経過時点で再発や転移を認めていない。
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