臨床室
アトピー性皮膚炎が感染源と考えられた小児腰椎化膿性脊椎炎の1例
上田 康博
1
,
三崎 智範
,
林 雅之
,
岩井 和之
,
田尾 克生
,
村田 淳
1福井県立病院 整形外科
キーワード:
Ceftriaxone
,
C-Reactive Protein
,
Gadolinium
,
Staphylococcus aureus
,
X線診断
,
MRI
,
掻爬術
,
X線CT
,
白血球計数
,
皮膚炎-アトピー性
,
ブドウ球菌感染症
,
腰椎
,
感染症伝播
,
Cefdinir
,
脊椎炎-化膿性
Keyword:
Ceftriaxone
,
C-Reactive Protein
,
Curettage
,
Dermatitis, Atopic
,
Leukocyte Count
,
Lumbar Vertebrae
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Staphylococcal Infections
,
Staphylococcus aureus
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Disease Transmission, Infectious
,
Cefdinir
,
Gadolinium
pp.327-330
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016279873
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14歳女子。発熱や外傷などの誘因なく腰痛を自覚し近医の整形外科を受診、急性腰痛症と診断され、保存的に経過観察されていたが、発症から6週経過後も腰痛が軽快しないため、著者らの施設へ紹介となった。受診時、血液検査で炎症反応の高値がみられたほか、単純X線像ではL1/L2椎間板高の減少と隣接するL1-L2椎体終板の不鮮明化が認められた。また、CTではL1-L2椎体終板の骨破壊像がみられ、MRIではL1-L2椎体はT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を呈し造影効果を認め、L1/L2椎間板内や椎体の前方周囲に膿瘍を疑わせる像であった。以上、これらの所見から、本症例はL1-L2化膿性脊椎炎と考え、手術が施行された。L1/L2椎間板を切開して組織を採取し、髄核鉗子で病巣を掻爬、椎間板内を洗浄後にドレーンを留置した結果、採取した椎間板検体とドレーン先培養からはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出され、病理所見では軽度に炎症細胞が浸潤していた。以後、MSSAによる腰椎化膿性脊椎炎と確定診断して、安静臥床とセフトリアキソンナトリウム水和物静注を行なった。腰痛は1週間で改善し、2週後の血液検査ではCRPは陰性化したため、抗菌薬をセフジニルの経口投与に変更後、体幹硬性装具装着で離床を開始した。最終的には赤沈値も正常化し、抗菌剤の投与も終了し、症状が再燃することはなかった。
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