臨床室
強直性脊椎骨増殖症に嚥下障害と脊髄症状を合併し前後方同時手術を施行した1例
山下 一太
1
,
生熊 久敬
,
篠原 健介
,
渡嘉敷 卓也
,
前原 孝
,
横山 良樹
1労働者健康福祉機構香川労災病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
X線透視検査
,
嚥下障害
,
整形外科固定具
,
MRI
,
脊髄疾患
,
脊椎固定術
,
X線CT
,
ビデオ記録
,
仰臥位
,
骨化過剰症-広汎性特発性
,
腹臥位
,
三次元イメージング
,
手術時体位
,
椎弓根スクリュー
Keyword:
Deglutition Disorders
,
Fluoroscopy
,
Hyperostosis, Diffuse Idiopathic Skeletal
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Orthopedic Fixation Devices
,
Radiography
,
Spinal Fusion
,
Spinal Cord Diseases
,
Video Recording
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Supine Position
,
Prone Position
,
Imaging, Three-Dimensional
,
Pedicle Screws
pp.423-426
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015265138
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72歳男性。誘因なく喉の違和感と飲み込み難さが出現し、やがて固形物が飲み込み難くなり、加えて上肢のしびれと巧緻障害も増悪したため、著者らの施設へ受診となった。単純X線像ではC2-6高位の椎体前方に前縦靱帯の骨化と考えられる著明な骨化巣の架橋形成が認められたほか、架橋になっていないC4/5高位では可動域が残存していた。また、MRIでは高度の脊柱管狭窄によりC4/5高位を中心として頸髄の著明な圧迫がみられ、CT脊髄造影像でも同様に椎体前方に突出する骨化巣と頸髄の著明な圧迫が認められた。だが、胸椎や腰椎にも前縦靱帯の骨化を認められるも、仙腸関節の骨癒合はみられなかった。以上、これらの所見を踏まえて、嚥下障害に対しては骨化巣切除を、脊髄症状に対してはC4/5の応力集中を考慮して除圧と固定を予定した。術中所見では腹臥位で椎弓切除(C3-C6)と椎弓根スクリューによる後方固定術を施行し、次いで仰臥位でC4/5中心に前方の骨化巣を切除後、前方椎体間固定術が施行された。その結果、骨化巣により食道は強く圧迫されていたが癒着はなかった。また、唾液の嚥下痛が消失した術後5日目に嚥下造影検査を行ない、通過障害と誤嚥のないことを確認し食事摂取を開始、術前の嚥下障害は消失し、固形物摂取も可能であった。尚、目下、術後3年5ヵ月経過で良好な骨癒合を得ており、嚥下障害の再発も認められていない。
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