発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010269559
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は47歳男性で、5mの土手から転落し受傷した。両上下肢のしびれ、握力低下を主訴に病院を受診し入院となった。単純X線、CTで明らかな骨傷を認めず、MRIでも傍脊椎軟部組織、椎間板などの異常や脊髄の圧迫所見が認められなかったため、中心性頸髄損傷と診断された。安静およびステロイド投与で症状は軽減し、第9病日にカラー装着で退院した。経過観察のため、第11病日に受診し、両側の肩から上腕の鈍痛を訴え、両側手掌全体に知覚鈍麻、右Th7以下に温痛覚鈍麻を認めた。徒手筋力テスト(MMT)では手関節の屈曲・伸展、手指中手指節(MP)関節の屈曲・伸展が低下し、握力も右35kg、左23kgと低下していた。両側のHoffmann反射、足クローヌスは陽性であった。単純X線ではC5/C6の椎間腔狭小は認めたがアライメントの異常は認められなかった。CTでも明らかな脱臼、骨傷は認められなかった。MRIのT1強調画像で骨髄内に高信号領域を認めた。前方到達法によりC5椎体を亜全摘しC4~C6の前方除圧固定術を施行した。頸椎脱臼で初診時診断が困難であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010